国内企業のブロックチェーン活用事例広がる⁉決算資料から分かるFintechの将来性

国内・海外問わず、ブロックチェーンが世の中に浸透するほど、暗号資産に対する需要も高まり、市場にも良い影響を与えます。暗号資産の投資家としては、こうしたブロックチェーンの先行きに目を凝らすことも、一つの投資判断として必要となるでしょう。

ただ、大手企業のブロックチェーン導入のニュースは、大手メディアを中心に一瞬にして全世界を駆け巡ります。多くの人が知っている情報を耳にしても、あまり面白くないですよね。

そこで、今回は少し視点をずらして、東証やマザーズなどに上場する「新興・中小企業」の決算資料をもとに、ミクロのブロックチェーン動向を探っていきます。

中小企業の数は国内で99.7%(総務省調べ)と圧倒的なシェアを持ち、彼らのブロックチェーンへの投資動向によって、この先の暗号資産の先行きが予見できるといっても過言ではありません。

海外に遅れるな!国内企業の多くもブロックチェーンに注目

ブロックチェーンの活用が進んでいます。世界ではIBMやマイクロソフト、フェイスブックなど、主にIT企業を中心に商用化を目指す動きも表れ始めました。そんな中、海外に遅れまいと大手の国内企業を中心に、ブロックチェーンを利用した新しいイノベーションの風が巻き起こりつつあります。

たとえば、GMOグループ企業である「GMO TECH」は、2018年3月より「GMOアップカプセル電子マネー」というサービスを開発しました。従来の電子マネーの仕組みにブロックチェーンを活用し、店頭でのチャージや支払いを瞬時に行えるというサービスです。

また、東京海上日動火災保険とNTTデータが共同で行う、「貿易実務×ブロックチェーン」の取り組みも、暗号資産の業界ではよく知られています。今まで複数の海運業者や保険業者などでやり取りしていた貿易データを、すべてブロックチェーンに格納することで、関係者であれば誰でも情報の参照から編集、送信が可能なサービスです。

このように、ブロックチェーンは業界の垣根を超え、今ではFintech(フィンテック)の注目分野として期待が寄せられています。ブロックチェーンといえば、暗号資産や仮想通貨をイメージすることが多いのではないでしょうか。しかし、その基盤となるシステムは、すでに金融分野を飛び越え、ITや貿易、不動産、保険、医療などの業界へと派生しているのです。

決算資料から見るブロックチェーンの将来性

先ほど紹介したGMOや東京海上日動火災保険の事例は、国内5大新聞でも大々的に報道されたことで、多くの人が知る事実となりました。

一方で、あまり大手メディアには掲載されない、新興企業から中小・中堅会社でも、その裏ではブロックチェーンに注目する企業が実に多いのです。そうした規模の小さい、しかしながら未来を変えていく可能性を持つ企業たち。実は、「決算資料」を見ることで、彼らがブロックチェーンをどうビジネスに活用していこうとしているのか、という姿がはっきりと確認できます。

すでに暗号資産を扱う投資家の方にとっては、こうしたミクロな視点でブロックチェーンの側面を覗いてみることで、この基盤技術が市場にどう影響を与えるかが見えてくることでしょう。

また、株式に分散投資している方にとっては、企業が四半期ごとに公表する決算資料の読み方を学ぶことで、将来的な株価の値動きを予測する手助けになるはずです。

では、決算資料からブロックチェーンに積極的な企業を紹介していきましょう。

アステリア中期経営計画

アステリア株式会社は、もともとインフォテリアという企業名でしたが、2018年10月より新しい商号で活動を行っています。プログラミング技術なしで膨大なデータの活用ができる「asteria warp」や、業界シェアナンバーワンのMCM(モバイルコンテンツ管理)である「Handbook」などのITサービスが代表的な製品です。

(出典:アステリア株式会社、中期経営計画資料2020、27ページ

アステリアは中期経営計画2020にて、ブロックチェーン市場の先行きを国内・海外から予測し、2021年までに適切なブロックチェーンベースのサービス提供を掲げています。すでに、大分県竹田市と共同で、ブロックチェーン技術による文書改ざん検知ソリューションの実験を始めているため、近いうちに商用化が実現することでしょう。

2019年3月期の第3四半期、最新の決算情報によると、売上高は25億円と前年同期比4.9%の増収を達成しています。

営業利益は前年同期比67.4%の大幅減益となりましたが、実はこの悪化は、将来の成長に向けた人材の強化や販売促進強化などによる投資拡大、および「This Place」社の買収に伴う成果報酬型買収対価の増加が起因と、どちらもプラス要素の高いコストの増加です。

1年間の株価チャートはやや下落トレンドではありますが、今期で上場来最高の売上高を達成したことに加え、積極的な投資スタイルも高評価として、決して下がり基調だから悪い銘柄とは言えません。

(参考:アステリア株式会社、2019年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結))

クラウドワークス中期経営計画

株式会社クラウドワークスは、企業など仕事を外注したい発注者と、フリーランスなどとして活動する受注者をマッチングさせるサービスを提供しています。専門的な用語では、「クラウドソーシング」といいます。

(出典:株式会社クラウドワークス、決算説明会資料

クラウドワークスもブロックチェーンに積極的です。

AIと組み合わせ、受発注者間で行われる取引のデータを分散化、かつ個々人のクラウドスコア(実績や評価など)の情報をブロックチェーンに保管することで、取引者同士が信頼しあえるシステムを構築します。取引相手の情報は誰でもアクセス可能で、その信用を一目で確認できるようになる、これはブロックチェーンの得意分野です。

クラウドワークスは2019年9月期、第1四半期の業績情報にて、売上高は前年同期比49.9%、売上総利益は同33.6%と大幅な増収増益を確保しました。国内フリーランス人口は2018年に1,000万人を突破し、今後は副業の解禁などによって、さらに市場規模の拡大が予想されます。

株式市場でも好評で、1年間の動きは堅調な推移を見せています。

(参考:2019年9月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

ユニリタ中期経営計画

株式会社ユニリタはクラウドを活用したシステム運用やデータ活用サービスを提供する企業です。ジョブ管理ソフトの「A-AUTO」、帳票システムをクラウド化させた「雲票」、従業員の教育動画ツール「LIVE UNIVERSE」などの製品が代表的です。

ユニリタは、2018~2020年の中期経営計画にて、ロボットやRPA(デスクワークの自動化)に加え、ブロックチェーン技術への新たな投資を掲げています。特にユニリタを代表する帳票システムなどは、ブロックチェーンへのデータ保管により、簿記から納税までスムーズな情報の送受信が可能になるはずです。

1年間の値動きも決して悪くありません。

2019年3月期、第3四半期の決算情報では、売上高は前年同期比35.1%の大幅増収を達成しています。営業利益こそ同29.3%の減益となりましたが、クラウド製品への開発投資が主なもので、将来に備える種まきを積極的に行っている点が高評価です。

(参考:株式会社ユニリタ、2019年3月期 第3四半期決算短信(連結)

まとめ

ブロックチェーンの活用事例についての情報は、海外・国内問わず大手企業のニュースが中心ですが、実は中小企業や中堅会社の中でも、同分野に対して積極的に投資を拡大していこうとするところが多いです。

特に、今回紹介したクラウドワークスやユニリタは、大きく売上を伸ばした一方で、その原資をしっかりと将来の投資に回している点が高評価できます。ブロックチェーンを活用することで、膨大なデータを保管し、それを関係者間でスムーズに送受信できます。システムをハッキングすることは現実的に不可能で、各情報は高いセキュリティによって守られるのです。

こうしたブロックチェーンの活用は暗号資産の市場に直接的な影響を与えますが、はたまた株式市場の各銘柄情報を参考するときにも、その将来性を測る一つの指標になるかもしれません。ブロックチェーンを暗号資産の視点から、加えて株式市場の視点から覗いてみることも面白いです。

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