暗号資産のスケーラビリティ問題とは?
2019.02.27
2017年の価格上昇後に投資家が急激に増え「スケーラビリティ問題」というものが多く語られるようになりました。そんな中であらゆる暗号資産がそれを解決するため処理速度をあげるためにスケーラビリティという拡張性に取り組んでいます。
今回は、そのスケーラビリティ問題について説明します。
暗号資産のスケーラビリティ問題とは
暗号資産は送金や取引を行うことが主要な活用方法です。これに加えて実用性も増してきており、暗号資産の可能性が広がってきています。
しかし、一方で暗号資産の技術的課題を解決していかなければ実用性が増していくことは難しいです。特に「スケーラビリティ問題」と呼ばれる技術的な課題を解決することが最優先と言われています。
「スケーラビリティ問題」とはブロックチェーンを活用する人が増えて、ブロックチェーンネットワークが拡大した結果、処理速度や送金遅延が低下する問題です。
ブロックチェーンのブロック容量やブロックの生成速度は一定なので、処理が必要なデータ量のみが増えていきます。
暗号資産が世の中に普及すればするほど、より深刻な問題になります。そんなスケーラビリティ問題の解決に向けて、多くの人が動いています。
暗号資産ごとのスケーラビリティ問題
スケーラビリティ問題を抱えている暗号資産は現在も多く存在します。各々の暗号資産が解決に向かって開発を進めています。
スケーラビリティ問題を抱えている暗号資産は多いです。そこでスケーラビリティ問題を抱えているそれぞれの暗号資産のスケーラビリティ問題解決策を紹介します。
ビットコイン
スケーラビリティ問題が顕著に現れているのはビットコインです。ビットコインのブロック容量は1MBに制限されており、取引処理の速度もかなり低いです。
ビットコインのブロックは10分間に一度ブロックが生成されて、取引スピードは約45分と言われています。
1秒間で8件のトランザクションの処理ができないので、どうしてもトランザクション処理が滞ってしまいます。
また、ビットコインの取引の承認待ち時間を減らすためにマイナーに払う手数料が高騰しているのも問題です。
しかし、スケーラビリティ問題を解決するために「ライトニングネットワーク」が有力な技術として浮上しています。
ライトニングネットワークはオフチェーンでトランザクションを処理して、ブロックチェーン状に効率化したトランザクションのみを送る技術です。
このライトニングネットワークはビットコインの取引にすでに活用しており、2018年後半のビットコインの取引には積極的に活用されています。
現在は600BTC近いビットコインが取引されています。その背景にはライトニングネットワークが急成長していることが挙げられます。
現在のライトニングネットワーク内のチャネル数は20000を超えています。急成長を遂げているので、2019年に注目している投資家も多いです。
もし、ライトニングネットワークが成長していけば、ビットコインのスケーラビリティ問題解決まではそう遠くないかもしれません。
リップル
リップルもスケーラビリティ問題を抱えていますが、ビットコインよりも高いパフォーマンスでトランザクションの処理が早く、1秒で1500件のトランザクションが処理できるとされています。
これはリップルがPoC(プルーフオブコンセンサス)という承認形式を取っているからです。
この承認形式では。全取引の記録を「レジャー」と呼び、取引の承認者を「バリデーター」を呼びます。
バリデーターには誰でもなれる訳ではなく、取引記録の承認に貢献した人がバリデーターに選ばれます。
このバリデーターは信頼できる人が選ばれるので、取引を承認するのに時間がかかりません。これによって、取引の承認までにかかる時間が5秒程度になっています。
これによって、リップルはコストやスケーラビリティなども含めて、他の暗号資産より高いパフォーマンスを維持しています。
数ある暗号資産の中でもスケーラビリティ問題とは程遠い暗号資産と言えるでしょう。
イーサリアム
イーサリアムはここ数年で利用するユーザーも増えてきており、処理が徐々に遅くなっています。Dappsの普及などによって、開発に使用されているデータも使われることになります。
現在のイーサリアムは1秒16件の処理が可能です。イーサリアムの15秒につき1ブロックを生成されます。
イーサリアムはスケーラビリティ問題解決に向けて、積極的に開発を進めています。解決策として、Prasmaチェーンの導入を試みています。
Plasumaチェーンとは、イーサリアムのブロックチェーンにサイドチェーンを形成して、サイドチェーンで高速処理を行い、ブロックチェーン内のトランザクション処理速度を高めようという技術です。
この技術によって、メインのブロックチェーンの処理データが減るため、データ処理がより高速になるとともに、トランザクション詰まりを解消して手数料の高騰を防ぐことにも繋がります。
また、イーサリアムのスケーラビリティ問題解決には「ライデンネットワーク」というもう一つの策が浮上しています。
ライデンネットワークはイーサリアム本来の機能を拡張するためのプロジェクトです。ライデンネットワークを活用することでブロックチェーン外で取引を完結することができます。
ライデンネットワークはERC20というトークンに対応しており、手数料が安く秒間で100万トランザクションの取引が可能です。
現在ライデンネットワークは開発段階なので、実装待ちとなっています。
ライデンネットワークが完成すればイーサリアムの処理能力は一気に上がり、クレジットカードの処理能力を越えると言われています。
イーサリアムのスケーラビリティ問題解決は検証段階まで進んでおり、そう遠くない将来に完全に解決する日がくるかもしれません。
スケーラビリティ問題の解決は近いのか
暗号資産の実用化を進めていくためにはスケーラビリティ問題の解決は必須です。送金などに使用されることが多い暗号資産においては、スケーラビリティのパフォーマンスが低いのは死活問題に繋がります。
2019年に入ってからスケーラビリティ問題に対して、各暗号資産がどう取り組んでいくのかは注目していきましょう。