ICOの規制緩和実現はなるか!?JCBAのICO規制提言から見える今後の仮想通貨情勢

JCBAが「新たなICO規制についての提言」を発表しました。仮想通貨のICO市場に関しては、まだ明確な法整備が進んでおらず、投資家の安全性を担保する仕組み作りが望まれています。今回の提言によって、国内ICO市場の新規制が整備され、健全な投資環境作りの第一歩となるかもしれません。

今回は、JCBAの「新たなICO規制についての提言」について、より詳しく内容を探っていきます。また、国内ICO市場が整備されることで、どのような影響がもたらされるのか考えていきましょう。

JCBA(日本仮想通貨ビジネス協会)が国内ICO規制の新提言を発表

JCBA(日本仮想通貨ビジネス協会)は2019年3月8日に、国内のICO規制に関する新提言を発表しました。JCBAには国内の主要取引所16社が参加し、仮想通貨業界の発展を目的として、政府や事業者などと意見交換や情報発信を行っています。

今回、JCBAから発表された「新たなICO規制についての提言」では、主に以下の4つの見解を述べ、今後の政府の仮想通貨規制やルール整備に大きな影響を与えることが予想できます。

・国内交換所で取り扱うことのできる仮想通貨の健全な拡大に向けての課題整理
・金融商品取引法の規制対象となるトークンと決済に関する規制対象となるトークンの区別と規制レベルの調整
・セキュリティトークンに関する規制
・ユーティリティトークンに関する規制
(参考:日本仮想通貨ビジネス協会、2019/3/8、「新たなICO規制についての提言」について)

JCBAのICO規制提言から読み解く今後の仮想通貨市場

現在の国内法では、ICOによるトークンの発行は仮想通貨交換業に該当するとされています。仮想通貨交換業は、金融庁のルールに則って、社内コンプライアンスやセキュリティなど厳しい審査をかいくぐらなければ、登録することはできません。そのため、2018年1月以降、適法に行われた国内ICOはゼロの状態です。

しかし、海外のICO事例では、イーサリアム(Ethereum)やリップル(Ripple)など、仮想通貨を使った資金調達で新たな市場を切り開いた銘柄がたくさんあります。そのため、日本でも現行の規制の幅を広げ、ICO専用の法規制の整備が求められています。

今回のJCBAから公表された「新たなICO規制についての提言」では、こうした国内ICO規制の新たなルール作りが主眼です。ICOには確かにリスクはあるものの、新規性の高いビジネスモデルまで規制の対象にしてしまっては、FintechやIoTなどテクノロジーの進歩に立ち遅れてしまう恐れもあるからです。

では、「新たなICO規制についての提言」について、もう少し具体的に内容を見ていきましょう。そして、今後の国内仮想通貨市場にどのような影響があるのかを予測していきます。
(参考:JCBA、2018/3/8、新たなICO規制についての提言

国内取引所の取扱い銘柄について

国内取引所の取扱銘柄は、海外取引所に比べて非常に少ないという印象を抱く方も多いのではないでしょうか。国内でもっとも多くの銘柄を扱っているのはZaif(ザイフ)で、トークンを合わせても合計13種類しかありません(2019年3月14日時点)。しかし、海外取引所の場合は、100種類はもちろん、多いところで500種類、なかには1,000を超える取引所もあります。

取引所の取扱銘柄が多くなれば、それだけ投資家は多種多様な仮想通貨に資金を投じることができます。つまり、資金の分散化が進み、リスクを和らげることに寄与するというわけです。

一方、国内取引所の扱っている仮想通貨に関しては、この資料が提示される1年前から変更されていません。そこで、JCBAは、ユーザーの適切な利用機会の提供を行えるよう、国内取引所の通貨新規取り扱いが再開されるよう提言しました。

ステーブルコインについて

ICOについて法規制するときに、必ず必要となるのがステーブルコインの位置付けです。ステーブルコインとは、特定の法定通貨(米ドルなど)の価値と連動し、価格の変動リスクが極めて小さい仮想通貨を指します。代表的な銘柄にはテザー(Tether)などがあります。

アメリカの場合、すでにステーブルコインに関する法的枠組みも存在し、信託スキームを利用した安全性の高いステーブルコインを発行できる環境も整っています。しかし、日本ではステーブルコインの位置づけとして、仮想通貨として規制するのか、為替取引として規制するのか、枠組みがはっきりと決まっていません。

ステーブルコインの国内流通を妨げないためにも、法規制の枠組みが早急に必要とされています。

セキュリティトークンとユーティリティトークンについて

ICOで発行されるトークンには、「セキュリティトークン」と「ユーティリティトークン」の二種類が分類されます。

セキュリティトークンの「セキュリティ」は「証券」という意味があります。このトークンが、現実世界の価値の裏付けとして利用される場合にはセキュリティトークンに該当しますが、情報の適時開示や投資家保護などを徹底する必要があることから、現行のICOではほとんど見当たりません。

一方のユーティリティトークンとは、直訳すると「有用性のある通貨」のことです。たとえば、ICO事業者が提供する商品やサービスを利用するために、「引換券」としてトークンが利用される場合、このユーティリティトークンに該当します。

セキュリティトークンに関しては、一項有価証券に該当するのか、それとも二項有価証券に当たるのか、その位置付けが必要で、当然法規制のルールも整えなければなりません。ユーティリティトークンに関しては、セキュリティトークンほど厳しい法規制を敷いてしまうと、事実上ICOが実施不可能になる可能性もあり、バランスが必要となります。

国内ではこうした法整備が整っていないため、今回のJCBA提言によって枠組みを定めることが方向付けられました。

まとめ

2018年1月に起きたcoincheck(コインチェック)騒動から約1年。ようやく仮想通貨の取引量も回復しつつあり、大きな値上がりに期待する投資家の数も増えています。しかし、投資家が安心して取引できるルールや法規制が整わないかぎり、過去の悪いイメージが払しょくされることはないでしょう。

JCBAの提言により、国内取引所の銘柄数が増加したり、ICOに関する枠組みができることで、市場全体が緩やかに成長していくことを期待したいものです。

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