最高税率55%!高すぎる暗号資産税制が変わる日も近い!?

暗号資産の税率は最高55%の税金、そして損失が出ても翌年への持ち越しは不可、レジで暗号資産決済したときにも税金が課されるなど、ユーザーにとって不便な制度となっています。株式投資やFXに比べて投資家の負担が高く、それが市場規模拡大を妨げる要因にも繋がっているのです。

しかし、ここへきて日本維新の会より藤巻議員が政府に向けて、暗号資産の税制改革を唱えています。今回はその趣旨と、現在の暗号資産税制との違いなどをお伝えしていきましょう。

【見出し】

過剰な暗号資産が成長を阻害|藤巻議員の訴え

公式Twitterより出典】

日本維新の会、藤巻健史議員は経済評論家を務めながら、参議院議員として活動している政治家です。その藤巻議員から2019年3月22日、「暗号資産やブロックチェーンは現行の税制によってその成長を大きく阻害されている」という提言がありました。発端は、金融監督庁から暗号資産関連法案の説明を求められたことからです。

仮想通貨に代表される暗号資産、およびブロックチェーン産業は、最近なにかと話題を呼ぶ「Fintech(フィンテック)」分野と深い関わりがあります。そのため、この分野の発展が阻害されることで、総じてフィンテックにおける国際競争力が養われていきません。

そのため、藤巻議員は金融庁に要請を出し、暗号資産の税制を根本的に変革しようと努めているということです。
(参考:coinpost、2019/3/23、藤巻議員、金融庁の仮想通貨関連法案に関して税務当局に要望を依頼

藤巻議員の仮想通貨税制改革の趣旨

藤巻議員が金融庁宛てに通達した、暗号資産税制の改革案は以下の4点です。

・最高税率を55%から20%へ引き下げ(分離課税へ)
・損失の繰越控除を可能にすること
・暗号資産の売買における税金を課さない
・少額決済を行う場合は非課税へ

この中でも、特に目立つ点が最高税率の変更となります。現在の暗号資産は投資や決済によって利益が発生した場合、所得税と住民税を合わせて最高55%もの税金が課されます。もちろん税率は所得額によって異なりますが、株式投資やFXなどに比べて税金が高すぎるため、投資に挑戦しようとする方も躊躇する要因となってしまうのです。

次の項目では、藤巻議員の提言の趣旨を紹介していくとともに、現在の暗号資産税制との違いをお伝えしていきます。

最高税率55%の見直し|分離課税による20%へ

一般的に給与などの所得税は、収入が多ければ多いほど支払う税金も増えます。その最高税率は45%で、住民税の10%と合わせると、所得が高い人はその半分以上を税金で納める必要があるのです。

暗号資産の税制もこの給与の所得税計算と同じです。

課税される所得金額 所得税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超、330万円以下 10% 97,500円
330万円超、695万円以下 20% 427,500円
695万円超、900万円以下 23% 636,000円
900万円超、1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超、4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
(※2019年3月27日時点)

たとえば、投資目的でビットコインを購入したとしましょう。その後、大きな値上がりによって、売却したときに2,000万円もの利益を手にしました。しかし、その利益がそのまま投資家の手元に残るわけではありません。

上記の表に適用すると、利益2,000万円の場合は所得税率40%です。さらに、住民税の10%が追加され、合計50%、利益の半分を税金として国に治める必要が出てきます。

このように仮想通貨の税制は、株式投資やFX、投資信託など一般的な投資に比べて、大変高く設定されています。株式投資などは、「譲渡益課税(15%)」と「配当課税(5%)」、そして「復興特別税(0.315%)」をプラスして、合計20.315%が税金です。

この税金は、給与などの所得から別で課税されるため、「分離課税」と呼ばれています(暗号資産は給与などと合算する総合課税)。また、株式投資などの20.315%の税金は、どれだけ利益を出しても一律です。

暗号資産が誕生して約10年。まだまだ成長途上にある暗号資産は、これからも値段が倍々に増えていくことも考えられます。そのため、大きな売却益にも繋がりやすく、税金を低くして投資するハードルを下げる必要があります。

翌年移行への損失繰越控除を可能に

損失繰越控除とは、1年間に発生した利益よりも損失が多ければ、その分を翌年移行に持ち越して所得額を相殺する控除のことです。現在の暗号資産では、この損失繰越控除が認められていません。

そのため、今年は大きな損失を計上したが、翌年に利益が出たという場合、その利益の全額に税金が発生します。株式投資やFXの場合は、この利益から損失額に応じた控除が適用され、納める税金額が少なくて済むのです。

市場規模拡大のための少額決済非課税制度

暗号資産は本来、投資目的ではなく決済用として開発されました。すでに、一部の家電量販店やスーパーなどでビットコイン決済に対応しています。しかし、暗号資産で決済を行うときも税金が発生するため、その税制が利便性を損なわせている一因とも言えます。

今後は、日用品や生活必需品などを暗号資産で支払うケースも増えてくるでしょう。そのため、少額の暗号資産決済の場合は非課税にするなどして、よりキャッシュレス社会を広げていくことも必要となるでしょう。

現在の暗号資産税制との比較

現在の暗号資産の税制は、最高税率55%、損失を出しても翌年移行に繰り越せない、さらに暗号資産決済(レジでの支払いなど)にも税金がかかるなど、ユーザーにとって非常に使い勝手の悪い制度が適用されています。

しかし、三菱UFJ銀行(UFJコイン)やJPモルガン(JPMコイン)のように、今後は大企業を中心に仮想通貨を発行するケースが増え、デジタル決済の波はますます広がっていきます。

そのため、現行の使い勝手の悪い税制を改革し、ユーザーが使ってみたいと感じるような環境整備が必要です。税制が改修されるだけでも、仮想通貨市場全体の規模が膨れ上がることは間違いありません。

まとめ

仮想通貨で昨年頃、「億り人(おくりびと)」なる言葉が生まれました。仮想通貨投資で1億円以上の利益を掴んだ、一攫千金の方々を指しています。しかし、彼らの利益の約半分は国に税金として納められていることを忘れてはいけません。現在の税制が続く限りは、投資を手控える人が増え、なかなか市場規模も拡大していかないでしょう。

ただ、日本は世界の中でも仮想通貨の法整備が整っている国とされます。そのため、株式投資やFXなど、投資家に有利な税制へと変わっていく可能性は高いと言えます。今後の政府動向にも目が離せません。

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